概要
消費税申告書の作成前に、[科目別課税対象額集計表]メニューを中心に、科目ごとに妥当性や正しく消費税額が計上されていることを確認します。
参考 | 消費税の管理や申告など全体の流れについては、こちらをご参照ください。 |
妥当性の確認ポイント
以下の視点から妥当性を確認します。
【Ⅰ】取引の区分けが妥当か
( 1 )課税取引と非課税や不課税、免税取引の区分けが妥当であるか
( 2 )輸入仕入の区分けが妥当であるか
( 3 )仕入や費用計上の課税取引が、課税売上と非課税売上のどちらに対するものか、または区分が
はっきりしないもの(共通)かの区分けが正しくされているか
【Ⅱ】税率の区分けが妥当か
標準税率10%・軽減税率8%の取引など、混在する複数の税率が適切であるか
【Ⅲ】課税取引の消費税額が妥当か
( 1 )自動計算された消費税額の手入力ミスはないか
( 2 )消費税額の計上漏れはないか
妥当性の確認例
以下のようなチェックができます。チェックする上で、[科目別課税対象額集計表]メニューの出力内容の意味やどのような金額が表示されるか、事前にご確認ください。
参考 |
▷をクリックすると補助科目ごとの内訳が確認できます。 |
【Ⅰ】取引の区分けが妥当か
① 【Ⅰ】-(1)免税売上をチェックする
② 【Ⅰ】-(2)輸入仕入をチェックする
③ 【Ⅰ】-(3)費用計上における課税取引の区分けをチェックする
【Ⅱ】税率の区分けが妥当か
【Ⅲ】課税取引の消費税額が妥当か
① 【Ⅲ】-(1)消費税額(自動計算)の手入力ミスをチェックする
② 【Ⅲ】-(2)消費税額(消費税科目を直接使用)の個別計上金額をチェックする
確認例ごとの不正な金額の追跡方法
【Ⅰ】-(1)免税売上をチェックする
例 |
免税売上が計上される「非課税等取引額」の金額を確認した際に、想定より金額が少ないことに気づいたケース |
- 「非課税等取引額」に集計される分が「課税取引額」に含まれている可能性があります。
追跡するため、「本体価額(消費税自動計算)」をダブルクリックします。 - 免税売上明細の計上ミスを確認するため、消費税区分明細表にジャンプします。
- 摘要(発送先)から、輸出売上の取引を発見しました。
免税売上にも関わらず、消費税区分「0060:課税売上」に集計されていることが分かります。
明細行をダブルクリックし、明細を修正します。 - 表示された[仕訳伝票入力]画面で[F9:修正]を押し、仕訳伝票を修正します。
売上高の消費税区分を「0060:課税売上」から、「0090:課税輸出売上(免税売上)」に変更します。
参考
修正する仕訳伝票が複数ある場合は、[消費税一括変更]メニューで、消費税区分を一括で変更できます。詳細は、こちらをご参照ください。
- 仕訳伝票を修正後、[科目別課税対象額集計表]メニューに戻って[F8:再集計]を押すと、免税売上の取引が「非課税等取引額」に正しく集計されていることが分かります。
上記のように、1つの勘定科目で取引内容によって消費税区分が異なる場合の入力ミスは、
取引(用途)ごとにあらかじめ補助科目を登録することで解消できます。
仕訳入力時に、補助科目を指定するだけで正しい消費税区分が設定されるため、日々の業務の煩雑さを軽減するとともに入力ミスを防げます。
【Ⅰ】-(2)輸入仕入をチェックする
例 |
輸入仕入の消費税が集計される「輸仕」行の消費税額を確認した際に、想定より金額が少ないことに気づいたケース さらに、【消費税個別計上】の「仕入」行がいずれかの場合
|
輸入仕入は、取引発生時には消費税はかかりません。消費税は、保税地域から国内に貨物を引き取る際に支払います。
そのため、課税取引額(本体価額)は0円となります。
- 「輸仕」行に集計される分が「仕入」行の消費税額に含まれている可能性があります。
追跡するため、【消費税個別計上】「仕入」行の「消費税額(伝票計上)」をダブルクリックします。 - 輸入仕入分の消費税の計上ミスを確認するため、消費税区分明細表にジャンプします。
- 摘要から輸入仕入の取引を発見しました。
貨物引き取り時の消費税の支払いにもかかわらず、消費税区分「0010:課税売上分課税仕入」に集計されていることが分かります。
明細行をダブルクリックし、明細を修正します。 - 表示された[仕訳伝票入力]画面で[F9:修正]を押し、仕訳伝票を修正します。
仮払消費税の消費税区分を「0010:課税売上分課税仕入」から、「0050:課税売上分輸入仕入の消費税」に変更します。
参考
修正する仕訳伝票が複数ある場合は、[消費税一括変更]メニューで、消費税区分を一括で変更できます。詳細は、こちらをご参照ください。
また、地方消費税額分の「仮払消費税」の消費税区分を「0053:輸入仕入の地方消費税」に変更します。
詳細な仕訳例は、こちらをご参照ください。 - 仕訳伝票を修正後、[科目別課税対象額集計表]画面に戻って[F8:再集計]を押すと、貨物引き取り時の消費税の支払いが「輸仕」行の「消費税額(伝票計上)」に正しく集計されていることが分かります。
あわせて、「仕入」行の「概算との差額」の率の欄の強調表示がとれます。
【Ⅰ】-(3)費用計上における課税取引の区分けをチェックする
例 |
部門ごとに「課税売上に対するもの」「課税売上・非課税売上共通のもの」と、課税取引の区分けが妥当かを確認するケース |
- 確認するため、「本体価額(消費税自動計算)」をダブルクリックします。
- 消費税区分の区分けが妥当かを確認するため、科目別消費税区分集計表にジャンプします。
- 以下の内容を確認します。
- 「共通売上分課税仕入」に集計される管理部門の水道光熱費を確認すると、想定より少ないことが分かります。
- 「共通売上分課税仕入」に集計される分が「課税売上分課税仕入」に含まれている可能性があります。
- 部門ごとに金額を確認します。[F10:条件設定]を押して条件設定画面を表示します。
- 「管理部門」を指定し、[画面]ボタンをクリックします。
- 管理部門にもかかわらず、「課税売上分課税仕入」に集計されていることが分かります。
追跡するため、ダブルクリックします。 - 消費税区分「0010:課税売上分課税仕入」で仕訳が登録されていることが分かります。
明細行をダブルクリックして修正します。 - 表示された[仕訳伝票入力]画面で[F9:修正]を押し、仕訳伝票を修正します。
消費税区分を「0010:課税売上分課税仕入」から「0012:共通売上分課税仕入」に変更します。
参考
修正する仕訳伝票が複数ある場合は、[消費税一括変更]メニューで、消費税区分を一括で変更できます。詳細は、こちらをご参照ください。
- 仕訳伝票を修正後、[科目別消費税区分集計表]画面に戻って、[F8:再集計]を押すと、「管理部門」の水道光熱費が「共通売上分課税仕入」に正しく集計されます。
【Ⅱ】計上した軽減税率品目の取引をチェックする
例 |
消費税率「8%軽」が集計されている行が妥当か確認するケース |
- 「課税取引額(税抜)」をダブルクリックします。
- 税率が妥当かを明細ごとに確認するため、消費税区分明細表にジャンプします。
- 摘要から、軽減税率8%が適用されない取引を発見しました。
お酒代にもかかわらず、軽減税率8%として集計されていることが分かります。明細行をダブルクリックして、明細を修正します。 - 表示された[仕訳伝票入力]画面で、[F9:修正]を押し、仕訳伝票を修正します。
会議費の税率を「8%軽」から「10%」に変更します。 - 仕訳伝票を修正後、[科目別課税対象額集計表]画面に戻って[F8:再集計]を押すと、「8%軽」「10%」の金額が変更されます。
【Ⅲ】-(1)消費税額(自動計算)の手入力ミスをチェックする
例 |
「概算との差額」の率の欄が、オレンジ色で強調表示されているケース |
- 仕訳明細まで追跡するため、「概算との差額」をダブルクリックします。
- 消費税手入力確認リストにジャンプします。
- 本体価格に税率をかけた消費税額「29,454」円に対し、実際に計上されている消費税額が「2,945」円と少ない仕訳明細があることが分かります。
- 明細行をダブルクリック、または[F9:伝票参照]を押します。
- 表示された画面で[F9:修正]を押し、仕訳伝票を修正します。
旅費交通費の消費税額を「29,454」円に変更します。 - 仕訳伝票を修正後、[科目別課税対象額集計表]画面に戻って[F8:再集計]を押すと、「概算との差額」の率の欄のオレンジ色の強調表示がとれます。
【Ⅲ】-(2)消費税額(消費税科目を直接使用)の個別計上金額をチェックする
例 |
【消費税個別計上】の「概算との差額」の率の欄が、オレンジ色で強調表示されているケース |
- 仕訳明細まで追跡するため、「概算との差額」をダブルクリックします。
- 消費税手入力確認リストにジャンプします。
- 消費税を手入力した明細が表示されます。
- 消耗品は課税取引にもかかわらず、消費税額が「0」円で計上されており、さらに消費税を個別計上していないことが分かります。
明細行をダブルクリック、または[F9:伝票参照]を押して修正します。 - 本体価格に税率をかけた消費税額「20,000」円に対し、実際に計上されている消費税額が「2,000」円と少ない仕訳明細があることが分かります。
明細行をダブルクリック、または[F9:伝票参照]を押して修正します。
- 消耗品は課税取引にもかかわらず、消費税額が「0」円で計上されており、さらに消費税を個別計上していないことが分かります。
- ① の対処方法
表示された画面で[F9:修正]を押し、仕訳伝票を修正します。
「仮払消費税」科目を利用して、消費税額を個別計上します。
② の対処方法
表示された画面で[F9:修正]を押し、仕訳伝票を修正します。
「仮払消費税」の科目の金額を「20,000」円に変更します。 - 仕訳伝票を修正後、[科目別課税対象額集計表]画面に戻って[F8:再集計]を押すと、【消費税個別計上】の「概算との差額」の率の欄のオレンジ色の強調表示がとれます。